会長挨拶

会長 朽木 量
(千葉商科大学)
諸先輩の言葉を思い起こせば、政策情報学会は多様な分野の研究者が集まる「知的リゾート」(井関利明先生の言葉)として構想され、設立趣旨では「プラトンが開いたアカデメイア学苑、アリストテレスが開設したリュケイオン学苑」(藤川吉美先生の言葉)を引き合いに出しつつ学会の存在意義が語られてきました。この度、会長に就任した私の専門分野は歴史考古学と民俗学です。「政策」や「情報」といった言葉のイメージとは程遠い分野を専門とするものが会長に就任したこと自体が、この学会があらゆる分野の垣根とプロアマの垣根を超えた「開かれた学会」の象徴であると考えています。
さて、一般に「AB学」というと、B学という分野のA領域を担当するように感じます。しかし、政策情報学は政策分野に関する情報学でもなければ、「情報政策」を語る学問分野でもありません。先に述べた「知的リゾート」そのものであり、分野を越えて学問が交流することで、多様な社会的課題に対峙しつつ「協調的な問題解決」を図っております。また、合理性・客観性・計画性などに重きを置く科学的思考を前面に出す「政策科学」を相対化してある程度距離を置くことで、あらゆるステークホルダーが持つ多様性・個別性・主観性を尊重し、偶発性をも視野に入れた解釈学的な議論も受け入れることができている学会だと考えております。
人文社会科学を見渡せば、認識論的転回(解釈学的転回)をへて、折しも存在論的転回が到来しようとしています。政策研究におけるステークホルダーは「人間」に限られておりましたが、アクターネットワーク理論を引き合いに出すまでもなく、これからは様々な「非人間」「無生物」といったモノもステークホルダーとして考慮しなければならなくなる可能性が高まってきています。そうした存在論的転回にも政策情報学はいち早く対応すべきだと考えております。
ヘーゲルは「ミネルヴァの梟は黄昏に飛び立つ」といいましたが、政策情報学こそは、夜更けではなく、諸学問に先立っていち早く黄昏時に飛び立つべきではないでしょうか。繰り返しになりますが、次の四半世紀を踏まえつつ、会員諸氏との意見交換をしながら、政策情報学と政策情報学会の存在意義を高めてまいりたいと考えておりますので、会員の皆様のご支援とご協力のほど宜しくお願いいたします。
歴代会長
氏名(※役職は就任時) | 任期 | |
初代会長 | 井関 利明(千葉商科大学) | 第1期:2004年11月-2006年11月 |
二代会長 | 仲上 健一(立命館アジア太平洋大学) | 第2期-第4期:2006年11月-2012年12月 |
三代会長 | 中道 壽一(北九州市立大学) | 第5期-第6期:2012年12月-2016年12月 |
四代会長 | 竹下 賢(関西大学法科大学院) | 第7期:2016年12月-2017年7月 |
(会長代行) | 若井郁次郎(大阪産業大学) | (残任期間:2017年7月-2018年12月) |
五代会長 | 若井郁次郎(モスクワ州国立大学) | 第8期-第9期:2018年12月-2022年11月 |
六代会長 | 市川 顕(東洋大学) | 第10期:2022年11月-2024年12月 |