学会概要
学会名称・設立
学会名称 | 政策情報学会 |
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英文名称 | Association for Policy Informatics(API) |
設立日 | 2004年11月20日 |
学術会議登録日 | 2007年11月22日 |
会員数 | 100名(2019年4月18日現在) |
いまや歴史は大きな転換期を迎えました。政治、経済、社会などすべてがT.クーンのいうパラダイム革命期の観を呈し、従来の個別科学の考え方では、正しく理解することも解決することも困難な多くの問題が山積するにいたりました。かつて、A.N.Whitehead は進歩か然らずんば退歩、保守とは退歩をいうとし、社会を先導すべき大学にとって観念の冒険がいかに大切かを説きましたが、かのヘレニズム期を彷彿とさせるように、あたかも羅針盤の壊れた船が大海に漂っているかのような混沌とした不透明な閉塞的状況にあって、人びとはいま、大学に対し社会的先導性の本務遂行を求めています。Clark Kerr は「歴史上、一国が繁栄するとき、そこには、かつてギリシア、イタリア、フランス、イギリス、ドイツ、そして今日のアメリカ合衆国がそうであるように、世界の最先端をいく優れた大学があった」と述べていますが、たしかに一国の栄枯盛衰は大学の使命と深く関係しています。プラトンが開いたアカデメイア学苑、アリストテレスが開設したリュケイオン学苑以来、一般に、西欧の大学には、妥協を許さぬ真理への愛の伝統と、もう一つ、パンタライの現実的プロセスの先に立って社会を導き、個々人の知的ニーズを充たすことを自らの使命とする伝統とが脈打っています。西欧諸国の先進的発展と繁栄の基礎はこうしたアカデミズムの伝統に求められます。大学が真理への愛をつうじて本来の社会的ニーズの充足と社会的先導性という使命を果たすとき、はじめて大学は個の成熟と社会の発展に寄与することになり、こうしてアカデミズムへの社会的信頼も大学の社会的権威も保障されるのです。
しかし日本は明治以来、キャッチ・アップ政策の下に社会的先導性を政府の使命、また大学をその侍女とし、カリキュラムまで文部省の管理下にあったため知的ニーズの感覚も社会的先導性の自覚も欠如し、厳粛な真理への愛というアカデミズムの精神も発育不全です。慶応義塾大学が1990年4月、新しい問題解決型の総合政策学部を創設したのは本来のアカデミズムを取り戻すためでした。現在、政策系の大学は60学部・学科を越えましたが、その成功には、過去からの知的展開のプロセス、未来への安全運行のための正しい羅針盤、超領域の知を総動員した的確な状況判断、それらを前提とする適切な舵取り(正しい政策、合理的な問題解決)の智恵と技法を学ばせる工夫が必要でしょうし、また正しい政策にはその前提として真なる情報が不可欠ですが、では、情報の真/偽はどう立証するか、どのような方法が必要か、等々、政策と情報とをめぐる諸問題を共通テーマとする学会も必要となるでしょう。
そこで私たちは、そうした諸問題に関する組織的な調査研究の交流を促し、個の成熟と社会の発展、ひいてはグローバル社会の平和と安定に寄与することを目的として、ここに政策情報学会(Association for Policy Informatics)を設立いたします。
加藤寛・石川忠雄・奥島孝康・井関利明・秋元幸人・石山嘉英・内田茂男・太田信雄・大矢野潤・小栗幸夫・柏木将宏・陸正・久保裕也・朽木量・熊岡洋一・熊田禎宣・楜沢順・近藤恭子・朱全安・瀧上信光・田中美子・玉村雅敏・田村充代・丹羽宗弘・福田泰子・藤江俊彦・藤川吉美・星田昌紀・三橋規宏・箕原辰夫・宮崎緑・譲原晶子・東条和彦・仲上健一・原野幸康・三井公彦・角田良平・樹下明・鈴木佑治・廣瀬忠一郎・渡辺尚志・服部忍・小沢俊康・周暁燕・青木寅男・濱野和人・並木真由美・越川和彦・村松秀太郎(敬称略・順不同)設立趣旨
発起人